20/8/9主日朝礼拝説教＠高知東教会
ペトロの手紙一1章22-25節、イザヤ書40章1-11節
「朽ちない言葉が生む愛」
ここには私たちの救いが、具体的にどういう救いであるのかが教えられています。それは一言で言えば、朽ちない兄弟愛に互いに生きる救いです。
22節の前半を直訳するとこうです。「あなたがたの魂は真理への従順の内に仮面のない兄弟愛の中へと清められたのだから」。だから、互いに愛するのだと言います。偽りのない、仮面をつけてない兄弟愛の中へと清められたのだから。イメージで言えば、自分自分で汚い魂が、石鹸とシャワーで綺麗に体を清められるようにキリストに洗われて、それからどぶんとお風呂に入って、ふ～気持ちえいとくつろぐように、兄弟愛の関係に入っているのが私たち教会だというイメージです。キリストの血によって清められ、罪を洗われ、赦されたのは、互いにキリストに結ばれた兄弟姉妹として愛するためだとハッキリ言います。私たちの救いは罪の裁きと汚れから救い出された先がある。救い出されて、救い入れられるのが、父が用意された家族という救いだからです。救い出されて、救い入れられる。どっちかだけはない。天国には入りたいけど、罪を赦されるのは嫌というのも、裁きからは救い出されたいけど、神の家族・教会の交わりに入るのは遠慮するという救いもない。つまり、お一人様の救いはないのです。皆、キリストと結ばれて救われるからです。
先週申しましたように、私たちは主との関係によって救われるのであって、行いによるのではない。関係によって救われ、そしたら全く同じく関係によって救われた人が隣りにも前にもいて、周り皆、キリストとの関係によって神の家族、兄弟姉妹とされて救われていて、キリストが皆に言われるのです。互いに愛し合いなさい。わたしの愛する兄弟姉妹たちよと。
それが、その名を愛と呼ばれる神様の真理、キリストと結ばれて救われる救いの真理です。キリストから、これがあなたの救いだと手を差し伸べられ、その招きにお従いして、はいとキリストの前にこうべを垂れて洗礼を受けた人は皆、この真理への従順によって、罪から清められ、キリストとの永遠の関係、父の子とされる関係に入って救われる。
その同じ関係の中に、兄弟姉妹たちが一緒にいて、互いに互いのことを、あなたもキリストに結ばれた兄弟ながやね、姉妹ながやねと発見しあって、良かったね、私たち同じ家族ながやねと互いに愛するのです。偽りのない兄弟姉妹、直訳は、仮面をつけてない兄弟姉妹として。
仮面をつけてない兄弟愛。義務や業務とかの営業スマイルなんかではない、素顔の兄弟愛。すっぴん（笑）の神の家族愛。家族ですから。
言い換えれば、何で私はこの人を愛するのか、あるいは愛さなければならないのかと考える時に、そうか、お互いにキリストに結ばれた兄弟姉妹だからかと、それ以上の理由らあて探さいで済むということです。何でですかイエス様？って尋ねたら、だってわたしの兄弟姉妹やきと、仮面らあつけてない嘘のない愛の素顔で、あなたもそうやかとイエス様が答えられる。それが私たちの素顔の心に染みて、はいと答える。その愛の関係、家族の関係に、もう私たちは入っちゅうのです。
だから「清い心で」あるいは「心から」兄弟姉妹として愛する。主の御言葉に本気で向き合って、私は本当にこの人の兄弟です姉妹ですと、教会の兄弟姉妹に向き合うということです。もし、相手の何かを不快に思うことがあっても、そこで十字架を仰いで、この人はキリストが命を捨てるほど愛されている人だと、魂に言い聞かせて優しく接する、その兄弟愛を、主は決して営業スマイルとは思われません。
また「深く」愛し合いなさいと言われます。これも直訳は、体を伸ばして、手を伸ばして、ストレッチして。同じ姿勢でずっといると固くなります。その姿勢がどんなに居心地が良くても、居心地のよい動かない姿勢で固まったまま重心が自分のど真ん中にあるのではなくて、その体を伸ばす。兄弟姉妹に向かって、ストレッチして、体が心が兄弟姉妹に向かって伸びて行って、う～んと体を伸ばして、相手に言葉や思いやりを届けるために、重心が自分の中心から、相手と私の間へと伸びて行くところに、兄弟愛は実を結ぶからです。
その愛の実を、互いに求める。教会の愛の問題を、自分の問題とすることも、相手の問題とすることも、問題の一部しか見てない偏見です。改めて言います。兄弟愛は関係の問題です。その関係は互いの間にあるのです。自分の中にあって、自分で何とかできるものではないし、自分の外にあって、教会は何をしゆうと批判できるものでもない。教会は、兄弟姉妹の間、関係の中にあって、その関係を取り持たれるキリストを信じるが故に互いに愛し合う時、そこにキリストの愛が、またキリストに愛されている教会が見えて、現れ出てくるものです。教会がキリストの体と呼ばれる所以もそこにあります。兄弟愛の中にキリストが現れてくださるからと言っても良いのです。
実際の兄弟や姉妹で、全然似てなくて兄弟とわからんのに、笑ったらそっくりとか、しぐさが同じという兄弟姉妹がいます。教会も同じく、その愛の中に、共通点が現れるのです。それはお互いの背景に御言葉を感じるような、あるいはそこにキリストの僕としての慎ましさを感じるとも言えるでしょう。自分から頑張って愛して、何かくれているという厚かましさではない。教会の兄弟姉妹という関係は、自分から生え出るものではないからです。お互い、神様の口から出た、朽ちない御言葉を聴いて、その御言葉を信じて、はいとキリストと結ばれて生まれた関係だからです。
いつでも、御言葉から始まります。だから例えば感染第二波が来て、礼拝で賛美歌を歌うのを控える教会が都心にはありますけど、御言葉を省くことはありません。御言葉を聴かんかったら、信じることさえ起らんからです。たとえ自分から生まれ変わりたいと願い、自分を変えたいと求めても、その私たちの願い求めに先立って、そうだ、それがわたしのあなたへの求めだと願い求めてくださっている、神様の御心から出た御言葉にお応えして、はい、信じます、主よ、私を造り変えてくださいと求めるのでなかったら、ただ自分から出た求めは、朽ちるのです。
けれど生きて私たちの内に働かれる神様の言葉に、はいとお応えし、その真理に従って愛する兄弟姉妹は、永遠に残る実を結ぶのです。その兄弟姉妹の関係が永遠だから。御子の命によって結ばれた朽ちない関係がここにあるから。永遠の関係が、もうここにあって、この関係は朽ちないからです。
人の思いなら朽ちます。人の愛の関係も、やがて朽ちてわからなくなって、忘れてしまって、そのうち何も思い出せなくなっても、その私たちを愛してお創りになられた全能の天の父なる神様は、あなたを失いたくないと、御子を十字架につけられて、私たちの罪を償い終えてくださった。あなたの命が終っても、それでも朽ちない滅びない、永遠の愛と信頼の関係の中に、わたしはあなたを入れるから、あなたはわたしの子となって永遠に生きよと、キリストによる赦しと復活の救いを、天の父は与えて下さった。この神様の愛の言葉、イエス・キリストの福音は、永遠に朽ちることも変わることもない、私たちの救いの真理を約束しているのです。あなたはこんなにも愛されている！と。
この御言葉によって、この御言葉の上に立たせていただいて、互いに愛し合うのです。この愛は、父の前に永遠に覚えられている愛だからと信じて。その愛の中に、御言葉は豊かな実りを結ぶからです。